がん保険と三大疾病保険の違い

現役ファイナンシャルプランナー中野さん

監修ファイナンシャルプランナーさん:中野令子さん

現在2児の母。短大卒業後、出産前までは大手証券会社で長年営業に従事。個人や法人の顧客向けに資産運用商品や保険などの金融商品を販売。現在は自営業の夫の仕事を手伝う傍ら、自身の経験を活かし、ウェブライターとして活動中。わかりやすいをモットーに、身近にあるお金について解説します。1級FP技能士。

がん保険と三大疾病保険の違いについて

がん保険と三大疾病保険のおもな違いをまとめると、以下のようになります。

がん保険 三大疾病保険
保障対象 がん(悪性新生物・上皮内新生物)※上皮内新生物は保障対象外としているがん保険もある がん(悪性新生物)、脳卒中(脳出血・くも膜下出血・脳梗塞)、急性心筋梗塞
保障内容
  • 診断給付金(一時金ともいう)
  • 入院給付金
  • 手術給付金
  • 通院給付金など
  • 三大疾病保険金
  • 死亡保険金
  • 高度障害保険金
免責期間 90日間 がんの場合は90日間、脳卒中や急性心筋梗塞は実質的には60日以上の経過が必要
支払限度額 入院給付金や通院給付金などはほとんどのケースで無制限 契約した保険金額と同額

保障対象の違いについて

がん保険ががんのみを保障対象としているのに対して、三大疾病保険はがん・脳卒中・急性心筋梗塞を保障対象としているという違いがあり、保障対象の範囲自体は三大疾病保険のほうが幅広いということになります。

ただし、がんに対する保障についてはがん保険のほうが幅広く対応できます。がん保険の多くは上皮内新生物も保障対象としていますが、三大疾病保険の場合、がんで保障されるのは悪性新生物のみで、上皮内新生物は保障対象外としている場合がほとんどです。

保障内容の違いについて

がん保険の保障内容は、がんと診断された場合の診断給付金(一時金)をはじめ、入院時の入院給付金、所定の手術に対する手術給付金、さらに通院に対する通院給付金など、保障内容が幅広い点が魅力です。

入院が長引いても入院日数の分だけ保障してくれるなど、先が長くなりそうながん治療に対しても寄り添っていける体制が整えられているのが、がん保険の保障内容の特徴のひとつです。

さらにがん保険によっては、放射線治療や抗がん剤治療などにたいする治療給付金や、がん先進医療に対する給付金や一時金の制度をもうけているところもあるなど、がん保険の選び方によっては、保障内容をとことん充実させることも可能です。

これに対して三大疾病保険の場合、三大疾病になった時や高度障害状態になった時、死亡した時などにまとまった一時金が支払われます。病気の状態が軽くても重くても、入院期間が短くても長くても、支払われる保険金はあくまで一時金のみです。

三大疾病保険で支払われる保険金は1回限りのもので、保険金が支払われた時点で保障は終了となり、入院給付金や手術給付金・通院給付金などというものは存在しません。ただし、掛け捨てではなく、解約した際にも解約返戻金が戻ってくるところは、がん保険と違うところです。

免責期間の違いについて

がんに対する保険の免責期間は90日間が基本となっており、これはがん保険であっても、三大疾病保険であっても、がんに対する免責期間の長さは同じです。

そして三大疾病保険の脳卒中および急性心筋梗塞に対する保障については、脳卒中の場合は言語障害や運動失調・麻痺などの活動障害が、急性心筋梗塞の場合は労働の制限が必要な状態が、それぞれ60日以上続いていると医師に診断された場合のみ保障されますので、免責期間はないものの、診断から保険金が下りるまでは必ず60日以上はかかることになります。

支払い限度額などの違いについて

がん保険の支払限度額は、診断給付金については定められた金額を1回限りしか受け取れないというものもありますが(複数回診断給付金を受け取れるがん保険もあります)、手術給付金は何度でも受けられますし、入院給付金や通院給付金に関しても、回数無制限で支払われるものがほとんどです。

つまり、がん保険の支払限度額は総額で考えると無制限であるということです。

これに対して三大疾病保険の保障は、入院・通院期間がどれだけであろうと、保障される金額が変わるわけではありません。契約時に決めた保険金額が一括で支払われることによって三大疾病保険の保障は終了するという形になります。

つまり三大疾病保険の支払限度額=契約時に決めた保険金額ということになり、その他のプラスアルファの保障は存在しません。

がん保険と三大疾病保険、どちらを選ぶかで考えるべきポイント

がん保険と三大疾病保険、保障対象である疾病の種類だけを見ると、がんだけでなく脳卒中や急性心筋梗塞も保障対象となっている三大疾病保険のほうが幅広いカバーができてメリットが大きいように思えます。

しかし、三大疾病保険はがんの中でも上皮内新生物は保障対象外となり、さらに契約時に決めた保険金額が1回限り保障されるだけで、それ以外の保障は一切ないというデメリットもあります。

がん保険か三大疾病保険かのどちらかを選ぶというより、治療も含めたがんの保障をしっかり考えたいなら、がん保険。三大疾病にも備えたいのであれば、医療保険などに三大疾病特約として保障をつけることも、検討してもいいのではないでしょうか。

監修FPが解説するがん保険と三大疾病保険との違い

三大疾病の保障だけではがん治療には不安

がんや脳卒中、急性心筋梗塞に対応している三大疾病保険には、医療保険の特約として、三大疾病の保障がついているものが多くあります。ただし、この場合のがんの保障は、ほとんど悪性新生物のみで、上皮内新生物が保険の対象になっているものは、ほとんどありません。

一方で、多くのがん保険では悪性新生物と上皮内新生物の両方を保障しており、上皮内新生物の保障を50%や10%に減額保障しているものもありますが、悪性新生物のみの保障としているものは、非常に少ないです。

上皮内新生物とは

上皮を構成する細胞を上皮細胞といい、上皮細胞から発生するがんを上皮内新生物といいます。代表的なものには、肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、子宮がん、卵巣がん、頭頚部のがん(喉頭[こうとう]がん、咽頭[いんとう]がん、舌[ぜつ]がん等)があります。

上皮内新生物は、がん細胞が基底膜を破って広がっていない状態なので、手術で取り除くことが可能で、転移がほとんどないと考えられていますが、上皮内新生物が悪性化し、基底膜を越えて浸潤した場合に、一般的な「がん」になります。

部位によっては、上皮内新生物と悪性新生物の区別がつきにくい場合があるようです。その際、上皮内新生物と診断されてしまうと、保険金は支払われません。

ポイント

がん保険を選ぶときには、悪性新生物と上皮内新生物の保障がどうなっているか、また、三大疾病やがんと診断されたときに、その後の保険料の払込免除がついていると非常に助かりますので、しっかり確認しておきましょう。

出典:国立がん研究センター がん情報サービス(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/knowledge/basic.html

他の保険とがん保険の違いを知る