どこが違う?がん保険と国民健康保険

現役ファイナンシャルプランナー中野さん

監修ファイナンシャルプランナーさん:中野令子さん

現在2児の母。短大卒業後、出産前までは大手証券会社で長年営業に従事。個人や法人の顧客向けに資産運用商品や保険などの金融商品を販売。現在は自営業の夫の仕事を手伝う傍ら、自身の経験を活かし、ウェブライターとして活動中。わかりやすいをモットーに、身近にあるお金について解説します。1級FP技能士。

国民健康保険

がん保険と国民健康保険は、民間保険か公的保険か、という根本的なスタンスの違いがあるだけでなく、保障対象や保障内容にも大きな違いがあります。

がん保険 国民健康保険
保障対象 がん(悪性新生物・上皮内新生物)※上皮内新生物は保障対象外としているがん保険もある 各種疾病やケガなど、保険診療でできる診察や治療全般
保障内容 診断給付金(一時金ともいう)
入院給付金
手術給付金
通院給付金など
医療費の一部
入院時の食事代の一部
高額療養費など
免責期間 90日間 なし
支払限度額 入院給付金や通院給付金などはほとんどのケースで無制限 無制限

それぞれの違いについて個別にご説明しましょう。

保障対象の違いについて

がん保険はがんのみが保障対象ですが、国民健康保険は保険診療の対象となるものであれば、あらゆる病気やケガが保障対象となります。

ただし、先進医療や美容整形など保険診療の対象とならないものについては国民健康保険でも保障することはできません。これに対して、がん保険の場合はがんの先進医療に関して保障がついているものも少なくありません。

保障内容の違いについて

がん保険の保障内容は、がんと診断された際に一時金として支給される診断給付金をはじめ、入院した際に支給される入院給付金、手術した際に支給される手術給付金、通院した際に支給される通院給付金などがあります。さらに、がん治療のための先進医療を受けた際の保障をしてくれるがん保険も少なくありません。

このようにがん保険は、がんに対しては非常に手厚く幅広い保障内容があるのが最大の魅力ですが、あくまでがん専門の保険であるため、がん以外についての保障は期待できません。

これに対して国民健康保険の保障内容は、患者は医療費の3割負担など一部負担はあるものの、非常に幅広い病気やケガに対応できるという違いがあります。

医療費の一部(7割~)を保障してくれるだけでなく、入院時の食事代の一部も保障してもらえますし、1ヶ月の医療費の自己負担額が一定の金額を超えた場合は超えた分の払い戻しをしてもらえるという高額療養費制度もあります。

この高額療養費制度のおかげで、保険診療が認められる範囲での診察・治療であれば、どんな内容であっても治療費がとんでもない金額になることがないのが最大の魅力です。

ただし、何かの事情で医療費の一部負担の免除が認められていない限り医療費の一部負担は必ず発生するというのも、国民健康保険の特徴です。

これに対してがん保険は、受けられる給付金の金額が実際の治療などにかかった金額を上回る=プラスになる、というケースもあるという違いがあります。

免責期間の違いについて

がん保険の免責期間は90日間が基本となっており、がん保険に加入しても免責期間内にがんと診断された場合は、保障対象とはなりません。

これに対して国民健康保険には免責期間がないため、加入したその日から保障を受けることができます。

ただし国民健康保険は社会保険や組合保険に加入していない人にとって、加入強制が適用される保険でもあります。そのため「病気になった時に加入して、すぐ保障してもらえばいい」などと加入の届け出を意図的に遅らせても、加入資格が発生した日にさかのぼって加入させられることとなります。

支払い限度額などの違いについて

がん保険の支払限度額は、一時金的な存在である診断給付金は、それぞれの契約によって一律の金額に決められており、がんの進行度などによって金額が増減するということはありません。つまり、診断給付金=一時金としての限度額、ということになります。

ただし、それ以外については、手術給付金は手術を受けるたびに何度でも所定の金額の給付が受けられ、さらに入院給付金や通院給付金に関しても、ほとんどのがん保険は無制限となっていますので、実質的に支払限度額は無制限となります。

国民健康保険の支払限度額についても見てみましょう。

国民健康保険は、医療費や入院時の食事代の一部保障については実際の診療や治療、入院などにおうじて無制限に保障されますし、高額療養費についても、所定の自己負担額を超えた分についてはいくらでも無制限に保障されます。

国民健康保険があればがん保険がなくても安心?考えるべきポイント

国民健康保険は保障対象が幅広く、医療費や入院費の食事代の一部を期間や回数無制限で保障してくれるだけでなく、医療費が高額となった場合、1ヶ月の自己負担額が所定の金額を超えた場合はその分も保障してもらえます。

こうして見ると、公的保険である国民健康保険だけでもなかなか保障が手厚いと感じるため、わざわざ別にがん保険に加入しなくともいいのでは、と考える人も少なくありませんが、実際のがん治療では国民健康保険でカバーされない治療費も多くあり、他にも差額ベッド代をはじめ、さまざまな出費がのしかかってきます。

お金の心配をすることなくがん治療に専念するためにも、がん保険の加入を検討してもいいのではないでしょうか。

監修FPが解説するがん保険と国民健康保険との違い

国民健康保険だけではカバーできない

日本では、すべての国民は何らかの医療保険に加入することになっています。その「国民皆保険制度」の中核としてあるのが、国民健康保険です。この制度のおかげで、病気やけがをした際に安心して病院で治療を受けることができます。国民健康保険の自己負担は1~3割ですが、高額医療費制度によって、1か月の自己負担額の上限が決まっているので、医療費の負担は軽減されます。

ポイント

ただし、公的医療制度はあくまで医療費のみが対象で、それ以外はすべて自己負担しなければなりません。入院時の食事代は1日1,380円かかります。【*1食460円(一般の場合)で3食分で計算 社会保険庁HPより】そして、差額ベッド代は、1人部屋で7,837円かかり、4人部屋であっても2,440円が必要です。【平成29年7月1日現在「主な選定療養に係る報告状況」】

この差額分をどう補うのかをきちんと考えて、必要な保障を準備しておくことが大切です。

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