がん保険における先進医療特約

がん保険や医療保険でよく目にする先進医療特約。先進医療ってなに?先進医療特約は付けるべき?先進医療特約について、分かりやすく解説します。

現役ファイナンシャルプランナー中野さん

監修ファイナンシャルプランナーさん:中野令子さん

現在2児の母。短大卒業後、出産前までは大手証券会社で長年営業に従事。個人や法人の顧客向けに資産運用商品や保険などの金融商品を販売。現在は自営業の夫の仕事を手伝う傍ら、自身の経験を活かし、ウェブライターとして活動中。わかりやすいをモットーに、身近にあるお金について解説します。1級FP技能士。

先進医療特約とはなにか

先進医療とは、厚生労働大臣が認めた「先進性の高い医療技術」のことです。医療機関で研究・開発された技術のうち、安全性と効果は確認されていても、まだ保険診療の対象にするか検討中の技術のことを言います。
ですから先進医療を受ける際は、診察・検査・投薬・入院などは通常の治療と同様、保険診療となりますが、「技術料」については全額自己負担となり、高額になる場合があります。
先進医療特約は、この「技術料」を保障するものです。多くの場合、医療保険やがん保険の主契約に組み込まれているか、特約として付加することができます、
先進医療の技術料には、2万円以下のものから300万円以上するものまで様々ありますが、万が一300万円かかると言われて「お金が払えないので治療できない」なんてことにならないよう加入する人も多いでしょう。
また、先進医療特約自体、100~200円程度で付けられるため、なんとなく付けているという人もいるかもしれません。

先進医療特約1

先進医療の実際は

先進医療は技術ごとに適応となる症状や、実施する機関が特定されています。もし先進医療を受けられることになったとしても、実施する機関が遠距離であれば、往復の交通費や宿泊費が必要です。
実際、先進医療の実施率はさほど多くありません。2018年のがん罹患者数が100万人を超える一方、同年の先進医療実施件数は28,539人で、確率的にはかなり低いことがわかります。(※1)
先進医療特約の保険料が数十円〜100円程度と安価で提供できるのも、実際に先進医療を受ける人が少ないからと考えることができます。
また、先進医療といっても、全ての技術が高額ではありません。「神経変性疾患の遺伝子診断」、「角膜ジストロフィーの遺伝子解析」など2万円前後で受けられる技術もあります。

※1参考:「厚生労働省【先進医療会議】平成30年度先進医療技術の実績報告等について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00007.html

先進医療特約は付けるべき?

先進医療技術全体でみれば、それほど高額でないものもありますが、がんの代表的な治療である重粒子線治療・陽子線治療・免疫細胞療法では、非常に高額な費用がかかります。(自己負担額は、重粒子線治療が約314万円、陽子線治療が約288万円)ですから、治療の選択肢を増やすために、先進医療特約は付けておいてもいいのではないでしょうか。

加入の際に、「支払直接制度」があるか確認してみましょう。直接支払制度とは、先進医療にかかる技術料を保険会社が医療機関に直接支払う制度のことです。制度を利用できれば、治療費を立て替える必要はありません。
先進医療特約の内容は、生命保険会社によって異なります。現在すでに加入している保険に先進医療特約を付加したい場合は、途中でも付加できるのかを確認しましょう。できない場合は新たに医療保険に入り直すことになりますが、その場合は年齢によって保険料が大きく変わる場合がありますので、注意が必要です。

先進医療特約2

先進医療特約は選択の幅を広げる備えです

先進医療は実施数が少なく、実際に受ける可能性は低いかもしれません。また、全てが高額ではなく、中には2万円以下の技術もあります。ですが中には、100~300万円以上が自己負担となる高額な技術もあります。
また、実施している機関が限られるため、治療を受けるため遠方へ行かなくてはならない場合もあります。その際の交通費、宿泊費の負担も軽いものではありません。
いざというとき満足な貯蓄がなければ、「お金がないから治療を選べない」ということにもなりかねません。この機会に、先進医療特約について検討してみてはいかがでしょうか。

先進医療特約はあくまで特約であるため、単体で加入することはできません。がん保険や医療保険などの基本保障(主契約)に付け加えることで、初めて保障を受けられます。検討する際は、支払い条件なども良く確認することが大切です。

監修FPによる先進医療特約の解説

高くないから先進医療を使える選択肢を持っておく

現在、先進医療技術として厚生労働大臣から承認され、認定されている技術は、88種類あります。新しく加わる技術もあれば、治療の有効性が認められ、健康保険対象の治療になり対象から外れることもあります。百数十円程度の金額で、将来的にも高度な医療技術を受けられる選択もできますし、すでにあるがん治療の重粒子線治療が約314万円、陽子線治療が約288万円もかかることを考えると、先進医療特約をつけないことで、治療の機会を逃してしまうかもしれません。

注意ポイント

先進医療を特約としてつける際、その特約が終身型か定期型かで保険料は変わります。終身型だと一生保険料は上がりませんが、定期型の場合は10年ごとの更新時にトータルの保険料が上がっていくので、注意が必要です。

また、先進医療の技術料は通算2000万円まで保障してくれるものがほとんどですが、技術料の10%を先進医療一時金としてもらえる商品もあります。治療を受けられる医療施設は限られているので、宿泊費や交通費などに充てられる一時金はあると非常にありがたいですね。